介護業界は離職率が高い、というイメージを持っている人は少なくありません。なぜなら、確かに以前は就職してもすぐに辞めてしまう人が多かったからです。職種別の離職率については全国平均が15%台に対して、介護職では16%台ですから、さほど違いは無く、他のサービス業が20%から30%に達している中ではむしろ低いと考えられます。
かつては21%程度あった時期がありましたが、介護職員の増加と正社員率の上昇に伴い、長く働き続ける人が増えているわけです。介護業界全体で離職者が多いわけではなく、法人ごとの差が大きい傾向にあります。入社した介護職員が長く働き続けることが出来るように、施設自体の理念がしっかりとしている法人には人気が集中しているわけです。一方で、常時求人を出している施設では、就業しては退職する人が後を絶たない状況が続いており、施設側に何らかの問題を抱え込んでいる可能性が疑われる状況です。
実際に働く労働者側にも、短期間で転職を繰り返す人と長期勤務を行なう人への2極化が進んでおり、志望動機の段階から介護職への適性が合っていない人が入職している状況が考えられます。人材不足で悩んでいる介護業界の人事担当者は、求職者に対して適切な採用を行なうことが求められているにも関わらず、人が足りていないという理由から採用してしまうことが問題です。介護職は、入所者を相手にする業種ですから、覚悟を持ってしっかりとした志望動機が無ければ、長期継続勤務は難しいと言えるでしょう。